こんな疑問について、現役の消防士が答えます。
- 消防士ってどれくらい筋肉が必要なの?
- 消防士の採用試験に必要な筋肉について
- 災害現場で必要な筋肉について
- いかにして消防士はマッチョになるのか?
とある消防本部で勤務する野人隊長(@yajinqq)と言います。ポンプ隊、レスキュー隊、救急隊と様々な部隊で勤務経験を積み、消防士になって10年以上が過ぎました。現在は救急隊長をしています。
僕が消防士になろうと決めたとき、疑問や不安があり沢山調べたことを覚えています。この記事が「消防士になりたい!」という人の疑問解消と、モチベーションアップにつながれば嬉しいです。
自分が消防士として働く姿を想像しながら、是非とも最後まで読んでくださいね。
(トップ画像出典:https://pixabay.com/ja/photos/%E6%B6%88%E9%98%B2%E5%A3%AB-%E7%B7%8A%E6%80%A5-%E7%81%AB-%E6%B6%88%E7%81%AB%E5%99%A8-2679283/)
消防士として採用されるには人並みの筋肉でよい

「消防士として採用されるために必要な筋肉」と「消防士として現場で活躍するために必要な筋肉」は違います。消防士を目指す人は、まず第一段階として、採用試験合格のためのトレーニングをしましょう。
消防士として採用されるためには「人並みの筋肉」があれば良いです。消防士として現場で活躍するには「人並み以上の筋肉」が必要です。この違いは何でしょうか?
火災現場などの最前線に出るまでに時間があり、その間に消防学校や消防署、自分で行うトレーニングで「人並み以上の筋肉」になっていきます。この期間に多くの人が大幅に筋力アップします。
消防士として採用されるために必要な筋肉って何?

消防士の採用試験の体力テストでは、どんな項目があるのでしょうか?消防士は地方公務員のため、各消防本部でそれぞれの試験は違います。採用試験の内容は学科も含めて、必ず確認するようにしてくださいね。
体力試験は、どこの消防本部も似た項目になっています。参考までに、東京消防庁で実施される項目を紹介します。
- 握力検査
- 上体起こし
- 腕立て伏せ
- 長座体前屈
- 反復横飛び
- 立幅飛び
- 5分間走
- 閉眼片足立ち
試験項目が、基本的な運動能力を確認する項目であることがわかります。どの項目も一定レベルに達していることが大切で、ズバ抜けた成績を残す必要はありません。
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採用試験の勉強中は、運動不足解消にジョギングをしたり、たまに腕立て伏せをする程度で良いと思います。1次試験を合格してから、上記のテスト項目を練習をするくらいで十分合格できると思いますよ。
消防学校では訓練に耐える体力と筋肉が必要です

消防職員の採用試験に合格すると、例外なく翌年の4月から消防学校に入校(全寮制)します。半年の間、過酷な災害現場に耐えうる筋力、体力、精神力が鍛えられ、様々な知識、技術が叩き込まれます。
この半年間を乗り越えたものだけに、消防士として災害現場に出ることが許されます。中には残念ながら脱落して退職していく人もいますよ。
採用試験に合格した人は、次の段階として消防学校の生活に耐えうる体力と筋肉が必要ということです。
実際に採用担当の人と話をしたときに、体力と筋肉があるに越したことはないが、消防学校に耐えうる体力、筋肉があれば良い。採用の段階では、学力、人柄、表情、やる気等を重視すると言っていました。
消防学校で消防士として必要な筋肉が備わる
消防学校に入校すると、規律ある暮らしが始まります。ポンプ操法訓練、耐熱耐煙訓練、火災想定訓練、水難救助訓練、救助訓練と過酷な試練が次々とやってきます。
また消防学校では教官からあらゆる場面で、気のたるみや規律違反で、罰として腕立て伏せやスクワット、懸垂などが命じられます。半年間で罰を受けずに、過ごすことは不可能です。連帯責任ですからね。
靴が汚れている。気がたるんでる!腕立て100回!!
声が小さい。災害現場でそんな声聞こえるか!連帯責任、全員でスクワット200回!!
このようなに負荷を沢山かけられる毎日を過ごすことで、1日1日鋼の体と強靭な精神力が鍛えられていきます。
【参考】僕が消防学校で成長した記録
消防学校入校中に、未来の消防士達が日々鍛えられていくことがわかったと思います。消防学校中からお給料がもらえますので、過酷ですがどこかで仕事だと割り切ることも必要かもしれませんね。
僕が消防学校中にどれくらい成長したかの記録を公開します。僕のバリバリの個人情報ですね。僕は走る方が得意で、パワー系はそこまで強くありませんでした。
見ていただくとわかる思いますが、アスリート並みの能力はありません。消防学校入校前の記録は体力試験の目安にもなると思います。僕の体力試験の記録は、合格者の平均くらいかなと思います。
項目 | 【消防学校入校前】 | 【入校後】 |
握力 | 左 52㎏ 右 54㎏ | 左 54㎏ 右 58㎏ |
上体起こし(1分間) | 56回/分 | 64回/分 |
腕立て伏せ(連続回数) | 63回 | 118回 |
懸垂(連続回数) | 8回 | 17回 |
長座体前屈 | 40cm | 41cm |
反復横飛び(20秒間) | 52回 | 56回 |
立幅飛び | 230cm | 242cm |
1500m走 | 5分40秒 | 4分50秒 |
閉眼片足立 | 50秒 | 1分40秒 |
空気呼吸器を背負いながら作業靴で走ったり、少し無理な態勢で重たい資器材を持ち上げたりするので、膝や腰を痛める人がいます。消防学校入校前は、柔軟や体幹トレーニング等のケガを予防するトレーニングをした方が良さそうです。
ストレッチマットは、雨の日でも自宅でトレーニングができるため、消防士必須の欠かせないアイテムですよ。

【防火着と装備は重い】災害現場で必要な筋肉について

消防士が火災現場で着る防火着は約10㎏、空気呼吸器は8㎏、その他諸々の装備を加えると20㎏を超えます。空気呼吸器は、普段よりも何倍も呼吸がしにくく、火災現場では室内温度はサウナ以上です。
火災現場がマンションならホースは1本10㎏の担いで階段を駆け上がります。放水するためにノズルを持てば、ホースの重さに水の重さが加わります。筋力と体力のある消防士でも飛ばされます。
消防学校で鍛えぬいた後も、過酷な災害現場で自分の命、仲間の命、要救助者の命を守るために、今日も消防士は体を鍛え、技術を磨いています。
災害現場では筋肉だけがすべてではない

消防士として現場活動を行う上で、体力と筋肉は絶対に必要です。ただすべての消防士の優劣が体力と筋肉で決まる訳ではありません。
持久力、冷静な判断力、現場観察能力、統率力、ロープ結索技術等、重要なことは沢山あります。消防士はチームで動くため、筋肉は平均的でも冷静な判断力がある人や、ロープ結索が上手な人も必要です。
自分は何が得意か、何が好きかは実際に仕事をしてみないとわからないと思いますので、消防士として何を専門としていくかは、働き始めてからゆっくり決めたら良いと思いますよ。
ではなぜ消防士は筋肉ムキムキなのか?

いつでも災害現場で力を発揮するため
消防士は災害現場、特に火災現場の過酷さを知っているため、多くの人が鍛えています。また消防学校で、自分の体の鍛え方を知るので、一度鍛えた体を頑張って維持していこうと思う人は多いですね。
消防士はスポーツ選手のように30歳くらいになると「そろそろ引退・・・」とかはないので、生涯現場で活躍したいと思う人はトレーニングに熱心です。退職まで現場で活躍し続けるなんてカッコ良すぎですよね。
消防署の待機時間に筋トレをする人が多い
消防士は、通常24時間の勤務体制です。朝出勤して翌日の朝に仕事が終わります。24時間のうち、すべてが勤務時間ではありません。食事の時間、休憩時間、仮眠時間など自由な時間も与えられます。
指令があれば出動がありますから、当然消防署の中にいる必要がありますが、消防署内で空いた時間に「みんなで筋トレしよう!」という雰囲気になります。みんなでやるとけっこう頑張ってしまうんですよね。
平日一人でできる趣味に筋トレは最適
消防士の休日は、平日の休みが多いです。週末に活動している社会人の野球チームやサッカーチームに毎週日曜日に参加するというような趣味は、少し不向きなんですよね。
そのため1人でできる趣味を持っている人が多いです。釣り、マラソン、サイクリング、パチンコ、ゲームとそれぞれなんですが、筋トレも人気の趣味のひとつです。
まずは消防士の採用試験で合格することを第一に

「消防士として採用されるために必要な筋肉」と「消防士として現場で活躍するために必要な筋肉」の違いをわかってもらえたと思います。消防士は採用試験の倍率が高く、学力試験はかなりの勉強時間が必要です。
そのため消防士になりたいからといって、毎日スポーツジムに通うのは得策ではなく、まずは学力試験を突破することに全力を注ぎ、筋トレは好きな人のみ気分転換で行うのがオススメです。
【消防士になりたい!筋肉って必要なんですか?】まとめ
以上、「【徹底解説】消防士になりたい!筋肉ってどれくらい必要なんですか?」でした。まずは「消防士として採用されるために必要な筋肉」を意識して体力試験に備えてください。
体力試験の難易度は高くありません。消防士を目指す人は、合格に必要な学力を身に着けることに全力を注いでください。良質な問題を沢山解いて当日を迎えることが、合格へのただ一つの方法です。
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この記事が、消防士を目指す人の疑問解消とモチベーションアップにつながれば幸いです。
