あなたは家計をどのように管理していますか?
「家計簿をつけている」という人も多いかと思います。
家計簿をつけることで、支出金額を把握し、お金の使い方を見直すことができます。
しかし、家計簿をつけたいと思ったものの、
「家計簿をつけたいがどんな方法がいいのかわからない」
「家計簿をつけているが、記録するだけで、全然貯金ができていない」
このような悩みをもつ人は多いようです。
この記事では、家計簿をつけることで家計を見直したい人へ、簿記で家計簿をつける方法をお伝えします。
簿記は、家計のお金の流れを把握し、財務状況の全体の管理に最も適している方法の1つです。
「簿記ってなんだか難しそう」と感じる人もいますが、心配はいりません。
なぜなら、この記事を読むことで以下の4点について知ることができるからです。
・簿記の基本的な知識
・簿記で家計簿をつけるために準備すること
・実際の簿記で家計簿のつける方法
・簿記で家計簿をつけた後、どのように家計を見直すのか
この記事の内容を実践いただければ、家計の無駄な支出を把握し、減らしていくことが可能になります。
簿記の初心者の人のために、わかりやすい例と表現を使っておりますので、是非、最後まで読んでみてください。
そもそも簿記の役割とは
そもそも簿記にはどのような役割があるのでしょうか。
簿記の役割は「会社が資産や負債及び純資産、収益や支出の状況を記録、整理することにより、会社の経営成績や財務状況を把握すること」です。
会社は、簿記を使うことで「負債を抱えすぎていないか?」「無駄な費用はないか?」「一部の資産に偏りがないか?」を確認します。
簿記をあなたの家の経済活動に利用するのが「簿記による家計簿」です。
会社と同じように、家の財務状況の管理をすること、支出と収入のバランスを把握することで、あなたの家計は健全な財務状況であるのかを確認することができます。
複式簿記と単式簿記の違い
簿記には2つの種類があります。
単式簿記:1つ(単体)の科目の管理を行う。
複式簿記:借方・貸方を用いて、発生するあらゆる資産・負債、収益・費用の管理をすることができる。
借方(かりかた)、貸方(かしかた)は聞き慣れない言葉かもしれませんが、簿記の基本用語になります。
今は借方=左側、貸方=右側とだけ、覚えておけば十分です。
上記の2つの簿記の種類については、例を見た方がイメージしやすいです。
給与収入を受け取った場合
単式簿記 現金200,000
複式簿記 現金200,000/給与200,000
病院の支払い
単式簿記 現金-10,000
複式簿記 医療費10,000/現金10,000
単式簿記では、200,000-10,000=190,000の式が成立し、手元に現金が190,000円あることが分かります。
つまり、現金単体としての増減を把握できます。
一方、複式簿記では、200,000-10,000=190,000の現金と合わせて、給与(収益)200,000万円、医療費(費用)10,000円の発生も、同時に把握することができます。
つまり、現金1科目に限らず、複数の科目について知ることができるのです。
複式簿記のメリット
複式簿記のメリットは、複数の科目の状況を一度に把握できることです。
あなたの家で増減している財産は現金だけではありません。
例えば、車、電化製品、外貨預金も資産に該当します。同様に、負債、収益、費用にもあらゆる科目が存在します。
複式簿記を利用することで、家計の資産・負債、収入・費用を徹底的に「見える化」することができます。
家計簿をつける主な目的は「健全な財務状況であるのかを確認する」ことです。
そのためには、1つの資産状況に限らず、すべての資産状況の管理が必要です。そして、それに適しているのが複式簿記による家計簿になるのです。
簿記で家計簿をつけるための準備
簿記で家計簿をつけるために準備することは2つあります。
①資産の動きが分かる明細
②家計簿をつけるもの
①はいわゆるレシートです。
その日に買い物したものを記録するときまで保管するか、写真を取るなどして保存しておきましょう。
クレジットカード支払いであれば、明細書が届くため手間がかかりません。
②は家計簿をつけるツールの準備です。
手書きであればノート・定規・ボールペンがあれば十分です。パソコンのエクセルで簡単に作れます。
また、家計簿アプリもあります。きちんと仕訳ができ、お金の流れを理解することが重要なため、自分に合ったものを選びましょう。
実際に簿記で家計簿をつけてみよう
家計簿をつけてみたいがイメージができないという方のために、例として仕訳をしてみます。
10/12 食費 10,000/現金 10,000
10/15 現金 200,000/給与 200,000
10/19 投資信託 40,000/現金 40,000
10/25 定期預金 10,000/現金 10,000
10/26 商品券 3,000/現金 3,000
10/30 教育費 80,000/現金 80,000
現金は資産の科目となります。
資産は借方(左側)で増える、貸方(右側)で減る、を意味します。
それを覚え、実際に増減の計算をすると以下のようになります。
-10,000+200,000-40,000-10,000-3,000-80,000=57,000円
57,000円現金がある状態ということがわかります。
現金が減った=出費?
では、現金が減ったと言うことは「現金はすべて費用として使われた」ということでしょうか?
そうではありません。
現金とペアになっている科目をよく見ると、定期預金と商品券の科目があります。
定期預金と商品券は現金と同様に、資産科目です。
現金という資産を、別の資産にしているため、単純な費用計上はしません。
仮に、単純な現金の増減のみを記録すると、資産が目減りしていると感じますよね。
しかし、複式簿記で記録することにより、現金が何に使われているのか明確にわかるのです。
家計簿の見直しポイント、収入を増やすか支出を減らすか
なぜ家計簿をつけるのか、なぜ手間をかけて複式簿記をつけるのか。
理由は家計の状況を確認したい、さらに深掘りすると「家計の無駄を探すこと」ではないでしょうか。
そのためには、家計簿を見返すことで、収入と支出を確認し、それぞれ気になる科目をより細かい科目にして分析してみるといいでしょう。
例えば、娯楽費が多いなと感じたら、娯楽費を飲み代、たばこ代、アプリ課金代、コンビニ代と分けてみるのです。
これで、どの費用が家計に影響を与えているか、より具体的に知ることができます。
費用を見直してそれでも家計が苦しい場合は、収入の見直しです。
給与が足りないのであれば、転職する、昇格できるよう努力する、副業を始める、資産運用を始める、などの手段があります。
基礎を学ぶ近道は日商簿記3級取得
簿記で家計簿をつけることを検討している方には、日商簿記3級の取得をおすすめします。
取得することで、簿記の基礎を理解でき、より効率的に仕訳を行うことができます。
例えば、簿記の基礎としてすでに説明した借方、貸方の概念があります。
借方で増えるもの:資産、費用
貸方で増えるもの:負債、純資産、収益
これを頭にいれているだけで、仕訳のスピードが変わります。
そして、日商3級なら家計簿をつけるための基礎知識を得られます。
日商簿記検定は通常、6月11月2月の日曜日で開催しているため、好きなタイミングで受けられます。
隙間時間の2時間を1か月継続すれば合格できます。
「資格なんか受けたことないけど大丈夫かな?」と思われる方、全く問題ありません。
商業科の高校では、入学してすぐ、1年生の6月の試験で9割以上は合格します。それを聞くと簡単だと思いませんか?
まとめ
以上のとおり、簿記で家計簿をつけることの基本的な話をしました。
特に、複式簿記で家計簿をつけることで、家計の資産状況の全体を管理することが可能ということが、理解いただけたのではないでしょうか。
資産状況を正しく把握できる技術は今後の人生においても、活用できるものであり、無駄にはなりません。
興味がある人は、ぜひ本日のお買い物の仕訳からしてみてはいかがでしょうか?
実際に仕訳を行うことで新たな発見があるかもしれません。