パニック障害と上手に付き合っていくためには仕事の向き合い方を考えるべき

パニック障害とは、突然パニックを起こしてしまう心の病気です。

激しいめまい・息切れ・動悸などが起こり、強い不安や恐怖に襲われます。そうした症状が理由もなく突然やってくるので、ほかの人と同じような生活をすることが難しくなってしまうのです。

特に仕事については「仕事中にパニックになったらどうしよう」という不安や、「続けたらもっと症状が悪くなるかも」「辞めるべきかな」「辞めたあとの生活はどうしよう」といった悩みを抱える人も多いです。

この記事では、そうした不安や悩みを少しでも解消できるよう、対応策や利用できる制度などパニック障害の向き合い方を解説していきます。

(トップ画像出典:https://pixabay.com/ja/photos/%E3%83%80%E3%83%B3%E3%83%97-%E5%B0%91%E5%B9%B4%E3%81%9F%E3%81%A1-3468127/)

パニック障害と仕事との向き合い方のポイントは、働きやすい環境づくり

パニック障害の人が仕事を続ける場合、「働きやすい環境づくり」がとても大切です。

仕事中の不安や緊張感は、パニック発作を引き起こしてしまったり、病気そのものを悪化させることもあります。
そのため、パニック障害と向き合いつつ仕事を続けるためには、そうした不安や緊張を取り除いていくことが不可欠です。

不安や緊張を取り除いていくには、次のステップがあります。

①周りの人の理解を得る
②自身の不安を相談する
③周りの人に協力してもらいながら、不安を取り除いていく

それぞれのステップについて、順に解説していきます。

働きやすい環境づくりのためには、まず「周りの人の理解」が大切

パニック障害の人にとっての「働きやすい環境づくり」に何よりも重要なのは、「周りの人の理解」です。

同僚や上司があなたの状態、そしてパニック障害という病気について正しい知識や理解を持っていれば、パニック発作が起きにくい仕事に変更してくれるでしょう。

また変更が難しい場合には隣でサポートしてくれたり、仕事上のあらゆる場面で不安や緊張を軽減したりできるように相談することが可能です。

周りの理解があってはじめて、働きやすい環境づくりの土台が出来上がります。

パニック障害を打ち明けるかどうかは、状況をよく検討しましょう

周りの人の理解を得ようとするときに注意していただきたいのは、「自分の周りの人は本当に理解してくれるだろうか」という点です。

周りの人の理解を得るには自身の病気や症状について、あなたが懇切丁寧に話せばいいというわけではありません。

上司や同僚があなたの話に耳を傾け、そのあと自分から調べたり正しい知識を持とうとしてくれるか、というところが周りの理解を得るために大切なことです。

あなたの上司や同僚は病気のことをきちんと聞いて、自分から積極的に調べたり理解を深める行動をとってくれそうですか?

会社のメンタルヘルス意識(会社は従業員の健康を守る義務があるという意識)は、どれくらい高いものですか?
あなたが病気を打ち明けることで、仕事の量や種類をもっと安心して働けるものに変えてもらえそうですか?

必ずしも「絶対打ち明けるべき!」というわけではありません。病気を職場に打ち明けるというのはとても大きな決断です。

焦らずに自分の症状や職場環境をじっくり検討し、病院の先生や家族ともよく相談して決めてください。

周囲の理解が得られたら、仕事の不安やストレスについて相談しましょう

職場には様々な不安や緊張、ストレスの原因になるものがあります。

「毎朝の満員電車での通勤。今発作が起きたらどうしようと不安でたまらない」
「新しいチームでの仕事がとても緊張する・・・」
「疲れているけれど、毎日残業して休日も出勤しないと仕事が終わらない」
「仕事で失敗してしまって、罪悪感やみじめさが襲ってくる」
「営業目標や売り上げ競争の数字に追いかけられる毎日でつらい・・・」

パニック障害になりやすい人の傾向として、とても真面目だったり責任感が強かったり、人より頑張りすぎてしまったりすることが挙げられます。

健康な人にとっても大きなストレスとなりうるような状況で、パニック障害を抱えた人が仕事をするのは発作を起こすリスクが、病気を悪化させる可能性が高くおすすめできません。

仕事上でそうしたストレスに直面した際、周りの人に相談することで解決策が見えてくることもあります。無理なく仕事を続けていけるよう具体的に何が不安なのか、どういう場面で緊張するのか相談してみましょう。

仕事でのストレスを少しずつ減らしていきましょう

前述したように職場にはいろいろなストレスがあります。周りに相談できる人も相談は難しい人も、自身の心を落ち着かせる工夫をしつつ、少しずつストレスを減らしていきましょう。

心を落ち着かせる工夫として、「ちゃんと薬を飲んだから大丈夫」と言い聞かせてみたり、スマートフォンの操作に気を向けてみたりなど、なにか別のことを考えてみてもいいかもしれませんね。

パニック発作はあなたの心のピンチを知らせてくれているものです。
無理に治さなければと思わず、上手に向き合っていけばいいと意識するよう心掛けてみてください。

現職ではパニック障害と向き合えない。仕事を辞めるか続けるかの判断ポイント

パニック障害と向き合いながら仕事を続けようと様々な努力や工夫をしてみても、うまくいかないこともあります。

周囲の理解が得られない場合やストレスが大きすぎる場合には、休職や退職についても考えてみましょう。

無理に仕事を続けることで病気が悪化すると判断した際には、仕事から離れたほうがいいという結論になるかと思います。

ただ、一口にパニック障害と言っても症状の現れ方や適切な対処法は人それぞれです。まずは医師に相談して辞めたほうがいいか、続ける方法があるかを検討してみましょう。

大きなストレスの中にいると、正しい判断をすることが難しくなります。焦って自分ひとりで決めることのないように注意してください。

パニック障害を理由に仕事を辞める際に利用できる制度や保障

パニック障害の人が仕事を続けるのが難しい場合、退職することも一つの選択肢ですが、
「退職したら生活はどうしよう」「治療を続けたいけど治療費が心配」「再就職はできるのかな」といった不安も大きいかと思います。

ここからは、そうした不安を和らげる制度や保障をご紹介します。

退職後のお金の不安を解消する制度

・自立支援給付制度
心の病気を持ち、継続して病院に通って治療しなければならない人をお金の面から支えようという制度です。
この制度を利用すると月額の通院治療費のうち、9割が行政負担となります。
自身の住む市町村の福祉関係窓口に問い合わせましょう。

・傷病手当
健康保険による制度で休職したときや、退職したときでも利用できる制度です。
まず、同じ病気が原因で3日以上休んだ場合に傷病手当金がもらえます。
退職後も同じ病気が理由で働くことが難しい場合、1年6か月を上限に手当をもらうこともできます。

・障害年金
こちらは国民年金、厚生年金による制度です。それぞれ条件を満たせば年金をもらうことができます。
病気によってどれくらい日常生活が困難になっているかでもらえる額も変わってきますので、まずは市町村の年金窓口に相談してみましょう。

・失業保険
雇用保険による制度で退職したあと、90日~360日間、失業保険金をもらうことができる制度です。
病気や出産などの理由がある場合、お金をもらえる期間は3年まで延長することが可能です。

ただし、再就職したいという気持ちがあること、再就職できる能力があることが条件になります。
また、制度を利用できるか、どれくらいの額をもらうことができるのかは、保険料を納めていた期間の長さや、今までもらっていたお給料の金額によって変わってきます。まずは最寄りのハローワークに確認してみましょう。

再就職のときに利用できる制度

・リワーク支援
精神保健福祉センターという機関や、民間の精神科病院などで利用できる制度です。
心の病気を抱えている人が復職を目的とした心のリハビリで、生活リズムを整えたり、仕事でのストレスへの対処法を学んだりすることができます。

・就労移行支援
病気や障害を持つ人が、一般企業で働くために必要なさまざまな知識やスキルを学べるサービスです。
また、病気の特徴ごとの支援を受けることもできます。

パニック障害の場合、問題のない仕事や強いストレスを感じてしまう仕事といった、自分の「大丈夫or大丈夫じゃない」を知ることで、仕事と上手に向き合っていく手助けとなります。

仕事を続けていく場合でも辞める場合でも治療は続けましょう

仕事を続ける場合や休職する場合、退職する場合など、どんな選択をしたとしても治療は必ず続けましょう。

仕事を続けながらの治療の場合、忙しさの中で薬を飲み忘れてしまいがちです。周囲の人に「薬は飲んだ?」と声をかけてもらうなどの協力が得られると良いですね。

また、通院のために仕事を休む必要も出てくるかもしれませんが、そうしたときでもやはり周囲の理解が必要です。休職、退職して治療を続けていくと、ストレスが減って急激にパニック発作の回数が減ることもあるかもしれません。

しかし、すぐに治ったと自己判断せず、医師の指示がある間はきちんと薬を飲むようにしてください。復職を焦って治療をおざなりにしてしまっては本末転倒です。どのような場合でも、医師の指示に従って自身の病気に向き合っていきましょう。

まとめ

パニック障害のために、今まで頑張ってきた仕事が思うようにできなくなってしまったり、「みんなできることが自分にはできない」と落ち込んでしまうこともあるかと思います。

ですが、それはあなた自身のせいではなく心や体が少し働きすぎてしまって、「ちょっと休みたいな」というサインを出しているだけです。

ですので、治療という形で「どのくらい休ませてあげればいいかな」と考え、実行していくことで治すことができるのです。

パニック障害を治療しながら仕事を続けている方も一度離職し、完治してから復職した方もたくさんいらっしゃいます。

中には、パニック障害をきっかけに自身の働き方を見つめなおし、今よりも良いライフスタイルを手に入れることができたという方も少なくありません。命と健康あっての仕事です。ゆっくり、自身の病気と向き合ってみてください。