「リストラ」という言葉がドラマや映画の話ではなく、日常的に使われてしまうようになった現代社会。
さらに新型コロナウイルスの影響による経済不況の今、会社をクビになることはもはや他人事ではないなぁ、とビクビクしていませんか?
そこで今回は「クビ・解雇」に関する知識、会社をクビになりそうと感じたときについてご紹介していきます。
(トップ画像出典:https://pixabay.com/ja/photos/%E7%94%B7-%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%83%AC%E3%82%B9-%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%83%AC%E3%82%B9%E3%81%AE%E7%94%B7-937665/)
会社をクビになりそうと感じた経験がある社会人は46%も!
2018年に会社員502名にアンケートをとったところ、会社をクビになりそうと思った経験があるという人は46%もいたそうです。
約半数近くの人がクビを覚悟したことがあるというわけです。冷や汗をかいた瞬間は以下の通りです。
・飲みの場で上司と揉めた時
・大きな損失を与えた時
・大切な書類をなくした時
・取引先との約束を忘れた時
・遅刻を何度もした時
参考:https://news.mynavi.jp/article/20180411-612525/
このような状況になると、誰しもが焦ってしまう気持ちはよくわかります。
でも実際のところ、無断欠席や無断で遅刻したりなど、社会人として当たり前のことができないなどの理由がない限り、会社は社員を簡単にクビにすることはできません。
会社からクビと言われても正当な理由がなければ退職する必要はない
労働基準法や労働協約で労働者の権利は保障されているため、会社側は一度雇用した従業員を解雇することができません。
たとえ上司に口頭で「お前は今日でクビだ」と言われたとしても、法律上は合理的な解雇理由として認められず、即座にクビになることはまずありません。
会社側も解雇に正当な理由があり、法律に則って解雇予告を行うことにより、解雇が有効になります。
会社がクビにする時に踏む手順「解雇予告」とは?
解雇予告とは、会社が従業員に解雇をする旨を通知することをいいます。これは労働基準法第20条定められており、以下の条件を満たせば会社は従業員を解雇することができます。
1.「予告解雇」
少なくとも30日以上前に解雇の予告(通告)をすること
2.「解雇予告手当」
予告解雇をしないときは解雇予告手当(30日分以上の平均賃金)を支払うこと
3.予告解雇と解雇予告手当てを足して30日分以上あること
このように会社は、一人の人間を解雇するにもしっかりと手順を踏む必要があるデリケートなもので、会社側も慎重に進めていく義務があります。
次はどういったときに解雇されるのか、解雇理由についてもお話ししていきます。
「クビになりそう」だけでは切られない!適法な3つ解雇理由
会社は簡単にクビにすることはできないというお話しをしましたが、正当な理由があれば会社は社員をクビにすることができます。
社員をクビにできる正当な理由は以下の3つとなります。
- 会社の人員整理「整理解雇」
いわゆるリストラと呼ばれるもので、会社の経営が悪化し人員削減を行うことで事業継続を図るための解雇。
- 会社の都合による「普通解雇」
労働基準法と労働契約法に基づいた解雇。例えば能力不足が著しいが努力・改善の見込みがない場合や、病気やケガで勤務に支障が出てしまう場合などに社会通念に基づいたうえでの解雇。
- 規則違反による「懲戒解雇」
横領などの犯罪を犯した場合や、何度も続く無断欠席など、社会の秩序を著しく乱した場合や就業規則に違反した場合にペナルティとしての解雇。
以上のような場合に、会社は社員をクビにすることができます。真面目に働いていれば安心という時代はもう終わっており、こちら側に非がない場合でもクビになる可能性はあるのです。
【危険サイン】会社をクビになりそうな前兆とは?
正当な理由がなければクビになることはないと前項でもお話ししましたが、会社都合の退職よりも自己都合退職の方が会社にとって好都合のため、会社は解雇予告よりも前に「クビになりそう」と思わせるような行動を起こしてくる場合があります。
- 部署異動や急な配置換えなどの人事異動
このケースは非常に多いと思われます。本人の適正や希望を無視した部署移動や、僻地に異動させて自主退社を促すというパターンです。
個人的に今まで見てきたのは、人間関係においてトラブルを頻繁に起こすが、就業規則違反までのレベルではない厄介な人、とレッテルを貼られた人が対象になっていました。
- 遅刻や欠勤が容認される
これもわかりやすい例です。「言われるうちが花」のたとえのように、何も言われなくなったら見捨てられたということです。会社側からはいない存在として扱われ、精神的に追い詰められていくこともあります。
- 会社の経営難
赤字続きで会社の存続危機のため、やむを得ず整理解雇を行うパターンです。
リストラをするには会社にとってもリスクがあるため、事前に希望退職者を募り、双方円満に解決するという事例をとっている会社も多く見られます。
ただこの場合、優秀な人材の流出が懸念されてしまうこともあり、昨今ニュースで見かけるようなグレーゾーンな方法で整理解雇を行うという恐ろしいケースもあるようです。
会社をクビになりそう⁉と感じたらすべき〇〇の行動とは?
こういったクビの予兆はある程度予測できることなので、事前に対策を打っておきましょう。
- 勤務態度に問題があるのなら、努力をし会社に貢献できるように誠意を持って働く
勤務態度を改めて、周囲の人と笑顔でコミュニケーションをとり、一生懸命働く姿に共感してもらえれば、たとえ会社をクビになりそうになっても周りが味方してくれます。
- ミスが多くよく怒られてしまうなら、客観的に日頃の作業を見てみる
同じ仕事を同僚のAさんならどういった手順でするだろうか?このやり方がダメなら別の方法を考えてみるなど、改善策を考えてコツコツ実践していくことで優秀な人材と評価されます。
ミス自体はどんな人でもしてしまうものなので気にする必要はありません。要はミスやトラブルをどうやって回避するか知恵を出し行動していく姿勢を見せることでクビを回避することができます。
- 会社の経営状況の悪化による前兆なら、転職活動の準備をしていく
会社の経営難を事前に察知しているなら、早めに転職してしまうのも一つの手です。在職中に副業を始めて、軌道に乗り始めたら起業するというのも今の時流でもあります。
経団連やトヨタなども「終身雇用は厳しい」と言っている時代です。ひとつの会社に固執するよりも空いてる時間に何か新しいことに挑戦していきましょう。
万が一会社をクビになってしまったら?
ここまでご説明しましたように、会社は簡単にクビにするはできません。しかし万が一クビになってしまった場合は「解雇理由証明書」を会社に請求しましょう。
なぜ解雇理由証明書が必要になるかというと、もし不当解雇だった場合、裁判で争うときに必要になるからです。
この証明書があれば有利に裁判を進められる可能性がありますので、口頭で解雇理由を聞くのではなく、きちんとした書面で受け取るようにしておきましょう。
クビになりそうでも困ることがないように各種手当を調べておこう!
もしなんらかの事情で退職となった場合、雇用保険に加入していれば、次の仕事が見つかるまでの間は国から失業手当が支給されます。
雇用保険に加入していた期間や、退職理由(自己都合か会社都合)によって支給される金額や時期などは人によって異なりますので、事前に管轄のハローワークに問い合わせてみてください。
まとめ
最後におさらいとして今回の記事の内容をまとめました。
・社会人の約半数は「会社をクビになるかも」と感じたことがある
・解雇は3パターン存在する(普通解雇、懲戒解雇、整理解雇)
・解雇はデリケートな問題なので簡単にできない
・向上の見込みがあると見てもらえるように誠意を持って働こう
・もし解雇になっても取消の訴訟をすることもできる
・失業手当等も存在するから事前に調べておきましょう
クビになりそうと気づいているなら、クビになる前の事前準備や改善が大切になってきます。全て会社任せにするのではなく、自ら行動を起こせる人間になると、クビになっても対応することができるでしょう。