ニュース PR

正社員から契約社員へ!若者に広がる選択肢

記事内に商品プロモーションを含む場合があります

アベノミクスで提唱した「1億総活躍社会」という言葉を覚えているでしょうか?

「元気な高齢者にも活躍の場を」という意味だけでなく、専業主婦の社会復帰まで見越した非常に耳障りの良い言葉ですが、背景はどうでしょうか。

増加の一途をたどる社会保障費の負担、共働きでなければ支えられない家計、その原因である各企業の給与体系、上がり続ける生活費と、随分住みにくい社会になってきています。

それに加え、日本の労働力人口は世界最速で減少しており、もはや全員で税収も個人の生活も支える必要があるということです。

総理大臣が宣言するまでもなく世の中の若者は敏感にその空気を察知していて、同じ会社で長く働いても今の中高年並の所得には到達しないと気づいています。

そして、転職するという一昔前の日本では考えにくかった事象がごく当たり前に行われ、大きな市場を形成しています。

転職が当たり前である現在、各自の在り方を尊重する社会になろうとしています。

それは、これまで事実上正社員一択であったキャリアのスタートが変わりつつあることを意味していると考えられます。

https://pixabay.com/ja/photos/%E7%94%B7-%E6%9B%B8%E3%81%8D%E8%BE%BC%E3%81%BF-%E8%A8%88%E7%94%BB-%E3%83%87%E3%82%B9%E3%82%AF-593333/

契約社員の割合推移

最近の求人では新卒・中途を問わず、契約社員での募集を多く見受けられる様になりました。

一概には言えませんが、比較的に安定した企業の募集が多いようです。

よく「正社員登用あり」と書かれていて、採用する企業側の意向でお試し的な意味合いが強いと思いますよね。

それは、応募する求職者にとっても対等でしょうか?

契約期間満了に伴い新たな職場を探すことは、全く支障なく次に進めるものでしょうか?

次の会社の面接では、契約期間を更新しなかった理由について、必ず指摘を受けるのではないでしょうか。

これが現在に至るまで、採用市場における一般的な契約社員の位置づけでした。

契約社員は平成11年にはほとんど存在せず、同16年には250万人程、同26年には292万人と増加し、労働人口の14.9%でした。(引用:厚生労働省「非正規雇用の現状と問題」)

契約社員の定義

「契約社員」という言葉に馴染みが出来て久しいですが、正確な意味をご存知でしょうか?

正確には「期間の定めがある雇用契約」を締結している社員のことです。

契約期間は最長3年で、更新後合計5年に到達すると、本人の希望により正社員として「向き雇用契約」を結ぶことが出来ます。

もちろん、その5年間を通じて評価を勝ち取った方だけの権利です。

業務内容や勤務時間等、契約に従って合意した内容で勤務することなります。

身近な存在としては「準社員」「嘱託社員」と呼ばれる方が該当することが多いです。

また、例外的に高度な知識を保有すると認められるスタッフと60歳以上の高齢者について、契約期間は最長5年です。

契約社員のデメリット 勤務編

賃金について企業毎に異なる考え方ですが、一般的には「契約社員には賞与を支給しない」という企業が多いです。

正社員と比べると待遇面でデメリットが多く、昇給も交渉次第という企業が多い様です。

また、家族や住宅への手当てが支給されない他、福利厚生も正社員より少ないという実態が挙げられます。

賃金・手当と同様に退職金についても厳しくて、支給する企業はほとんど無い様です。

「働き方改革」で正規職員と非正規職員の格差是正が提唱されていますが、実現しているものもあれば、まだまだのものもあります。

今後改善されていくことに期待したいところです。

契約社員のデメリット 個人編

さて、勤務条件としては前述の通りですが、それらはどのように本人に影響するでしょうか?

契約社員とはいえ、かなりの努力をして勝ち取った内定も多いはずです。

しかし、その企業で長期雇用前提の人材として、教育への投資や困難な業務へのアサインをしてくれるかというと、それは期待できません。

契約社員では「キャリアを身に付ける」というデザインが難しいと言えます。

職場で普通に勤務していると、契約期間が満了したのち、次の会社では今までのキャリアで身に付けた○×を活かすのは難しいということです。

またプライベートに及ぶと、例えば結婚で障壁になることもあるかも知れません。

より現実的なところでは、住宅ローンの審査で影響が出る可能性が十分に考えられます。

契約社員のメリット

一方でメリットも多く、契約で決まっている内容通りに勤務することが出来るので、「就業場所」、「就業時間」、「業務内容」を決めることが出来ます。

その為。転勤や部署異動を避けることが出来ますので、自分の時間を持つことが出来ます。

また、副業・兼業も可能になりますので、規制の多い正社員よりも、契約社員を選ぶことで描けるキャリアもあるはずです。

正社員に比べると、退職を正当化することが出来ますので、退職しやすい、という強みもありますよね。

どうですか?正社員にはないメリットですよね。

自分のやりたいことがある人はマッチすると思いますし、思いがけず契約社員になった人は、真剣に自分のキャリアを考え、準備する時間が出来た、と考えれば有意義な時間ですよね。

忘れがちですが、派遣社員は派遣会社に雇用されますが、契約社員は企業による直接雇用の為、いわゆる「派遣切り」のリスクはありません。

新卒者が契約社員に?

学歴を問わず、新卒者全体の統計では約25%が非正規社員として働いています(非正規社員とは派遣・契約社員を指しています)。

多くの場合、正社員として勤務を希望していたが、採用されなかった等、ネガティブな理由が大半であり、技能向上等の前向きな理由は一部に過ぎません。

傾向として、学歴が高くなる程、正社員採用が増えます。

性別では女性の非正規社員比率が高くなります。

若いとはいえ、非正規社員である期間が長くなると、正社員採用が難しくなることもある為、将来を担うべき新卒者の非正規社員の増加は社会全体の問題となっています。

今後、非正規社員は増えるのか?

人口そのものの減少もあり、増加するかまでは分かりませんが、一定以上の水準で推移し、減少は考えにくいと思われます。

アベノミクスによる大企業の経営安定化に伴い、正社員数が安定した一方で、その安定化には非正規社員の大量採用による、コスト削減があったことは間違いありません。

経済という時代を反映した生き物が、進化した形態である以上、大きな改善は期待出来ないでしょう。

実務上、契約期間を3年と設定し、更新しない旨を盛り込んでいる企業も多いと聞きます。

契約社員を選ぶ、という選択肢

前述の通り、企業経営上、契約社員は減らないでしょう。

改めて説明するまでもなく、契約社員にはデメリットが多く存在します。

その上で、メリットに着目し、敢えて選択する、という考えも増えてくるのではないでしょうか?

まず、若年者の場合、正社員と比べて賃金面での差異が少ないです。

その上で、時間的制約も無く、副業・兼業可能です。

契約社員として勤務している間に、ビジネスのマナーやエチケットを身に付け、その企業の業務をしっかりと学ぶことが出来ます。

契約上、難しい業務は任されないかも知れませんが、若い世代であれば、そもそも正社員でも難しい業務をアサインされません。

そう、新卒者であれば、習得出来るビジネスの知識や実務について、大きな差は無いのです。

その上で、自分の時間を確保し、副業・兼業として、違う選択肢を探り、もう一つの可能性にトライしてみる、或いは、資格取得に向けて勉強する、等、出来ることが一気に広がります。

決して負け組ではない選択肢として、「契約社員」を選ぶことも出来る、ということです。

本人次第で。

おわりに

「契約社員」と言うと、企業の都合で採用し、企業の都合で契約満了する存在ですよね。実際、その側面が強いです。

しかし、これからの若者は「契約社員」であることを逆手に取って、企業を利用する、という考え方が台頭してくるのではないかと、期待しています。

大卒の正社員でも3年以内に3割、高卒だと5割が退職する時代です。

正社員でも、それほど多くの知識や実務を会得している訳ではありません。

正社員として企業に入っても、違い過ぎる時代を生きた上司と一緒に働くことに違和感を覚え、到底、埋まらない所得の差に、ストレスを感じているのです。

企業に縛られない生き方として、契約社員として歩み、自分らしい生き方をする、その為には制約の多い正社員より契約社員がマッチする、そんな時代になろうとしているのではないでしょうか。