2020年、産業社会の世代と比べてだいぶ発達している社会に私達は暮らしています。
発達した社会で暮らしているのに、働き方はなぜ発達していないまま、未だに15時間労働をする人がいるのでしょうか?
そこには様々な理由がありますが自分の利益を求める人間の本心からの結果かもしれません。
15時間働いても自分の健康や法律などを理解した上で生活をするのが人としての義務です。この記事では15時間労働の実態について詳しくご紹介していきます。
(トップ画像出典:https://pixabay.com/ja/photos/%E4%BB%95%E4%BA%8B-%E4%B8%AD%E5%9B%BD%E8%AA%9E-%E7%94%A3%E6%A5%AD-1000618/)
15時間労働の会社に勤めている場合に残る1日の時間
労働時間(15時間)+昼間休憩(1時間)+通勤時間(2時間)+通勤準備(1時間)=19時間
上記の計算式を見ていただければ分かりますが、1日24時間から19時間を引くと5時間しか残りません。趣味や好きなことをしたくても次の日の仕事のため睡眠を取らなければなりません。ですが5時間の睡眠時間だけです。
厚生労働省が出している「健康づくりのための睡眠指針2014(平成26年3月)」では以下の様に語っています。
夜間の睡眠時間は 10 歳代前半までは 8 時間以上、25 歳で約 7 時間、その後 20 年経って 45 歳には約 6.5 時間、さらに 20 年経って 65 歳になると約 6 時間というように、健康で病気のない人では 20 年ごとに 30 分ぐらいの割合で減少していくことが分かっています。
つまり、睡眠時間は6時間から8時間は必要ということが分かります。しかし、15時間労働の会社に勤めていると、5時間の睡眠時間しか取ることができないため、不健康な生活を送ることになってしまうのです。
15時間労働を毎日続けると過労死する可能性が高い
毎日15時間労働を続けていると肉体的にも精神的にも弱ってしまいます。これは専門家の方々が検討した内容で厚生労働省より定められた「過労死基準」の一部です。
・直近2ヶ月~6ヶ月間の平均残業時間が月80時間を越えている
・直近1ヶ月の間の残業時間が月100時間を越えている
毎日15時間労働を続けた場合、月の残業時間は140時間を越えているため、1ヶ月目から過労死になる可能性が高くなってしまいます。
残業が多い会社では休みを取ることも難しいケースがあるので、体に異常があっても会社を休むことができず、待っているのは残酷な現実です。
15時間労働は違法にならないのか?
労働時間は法律で定められているはずなのに、なぜ15時間労働の会社は存在するのでしょうか?厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署より「時間外労働の上限規制」で詳しく説明をしています。
時間外労働(休日労働は含まず)の上限は、原則として、月45時間・年360時間となり、臨時的な特別の事情がなければ、これを超えることはできなくなっています。
臨時的な特別の事情があって労使が合意する場合でも、
・時間外労働 ・・・年720時間以内
・時間外労働+休日労働 ・・・月100時間未満、2~6か月平均80時間以内
とする必要があり、原則である月45時間を超えることができるのは、年6か月までです。
法違反の有無は「所定外労働時間」ではなく、「法定外労働時間」の超過時間で判断されます。
上記に違反した場合には、罰則(6か月以下の懲役または30万円以下の罰金)が科されるおそれがあります。この法律はすでに導入されていて有効になっている法律です。
・大企業 :2019年4月から導入
・中小企業:2020年4月から導入
参考:https://www.mhlw.go.jp/hatarakikata/overtime.html
上記の説明を見れば分かる通り、15時間労働を強いる会社は違法です。しかし、厚生労働省も全ての会社の実情を把握することができていないため、違法でもそういうブラック企業が存在してしまうのです。
海外の労働時間と日本の労働時間の違いは?
OECDが調査した世界の労働時間ランキング(2016)では日本は22位の1,713時間であり、1位のメキシコは2,255時間となっています。
「働きすぎる国」のイメージがある日本ですが、世界と比べてみると以外と働いていないことが分かります。ですが、未だに根強く長時間労働のイメージが日本にはありますよね。
それは今働いている会社が長時間労働の会社だからです。日本にある企業は数え切れないほどあり、ホワイトで長時間労働ではない会社も存在しています。
今いる環境が全てではないので、もっと視野を広げることで自分に合った会社に出会えることでしょう。
15時間労働問題はAIの導入で解決できる!?
長時間労働を改善する方法としてAIの導入が今注目されています。本当にAIが導入されることで15時間労働から解放されるのでしょうか?
日本労働組合総連組合が発表した「AIが職場にもたらす影響に関する調査」の内容によりますと、AIの認知率は約9割で、AIを導入することで「仕事が変わる」と思う人は6割を越えているのです。
これからAI導入が「増える」と考えている業界も建設業が19.6%、医療・福祉で16.7%、公務等は15.5%で金融・保険業も1割以上となっています。
一方、AIを導入しても「労働時間は変わらない」と考えている人も多く、長時間労働をAIで解決するのは難しいという意見もあります。
また、長時間労働から解放されたとしても、今度はAIに仕事を取られるという問題も出てきますので、安心はできませんね。
これからの時代は自分自身が一番の財産
一昔前までは、一流企業に入社して長く勤めることができれば人生は上手くいくと考えられていましたが、現在はそうではありません。
今の時代、人生が上手くいくために大切なのは自分自身の価値を高めることです。自分自身が最高の財産であり、自分のスキルが最高の武器となる時代です。どんな状況でも自分は裏切らないし最高の味方でもあります。
その大事な財産を、15時間労働の過酷な環境に放置して体も心も壊していては、これからの時代を生き抜くことはできません。
これからの時代を生き抜くためには少しづつでも自分を磨いていく必要があるのです。今の環境で自分の価値を高めることができないなら、速やかに転職や勉強などの行動を起こした方が良いでしょう。
15時間労働の会社から速やかに逃げ出そう!
15時間労働の会社から逃げ出そうと思っても、
「今月の家賃が払えないから」
「転職しても今が変わるとは思わない」
「転職が上手くいく自信がない」
などの様々な理由で転職を諦める方は多くいらっしゃいます。また、上司や同僚に辞めると言い出しにくかったり、退職することを拒んできたりすることもあるでしょう。
そんな時は退職代行を利用してください。退職代行は会社に行くことなく退職できるサービスとなっており、実質無料で受けられるものもあるため是非一度調べてみてください。
最後に
以前までは働けば働くだけ収入は上がっていき、会社もそれに対して充分な手当てをあげていました。体が疲れても充分な成果があったため達成感もあり、仕事を続けることは難しくありませんでした。
会社と従業員との信頼も厚く、終身雇用が当たり前だったため転職をあまり考えること人もほとんどいません。
時が流れて現在は若い世代の人が減ってきた反面、企業は増え続けています。人手不足で労働力が大切な時期の今は自分の武器を持っていれば仕事を選び放題です。
大切なのは長時間労働することではなく、自らの価値を高めていくことです。